タイ舞踊は「指先の芸術」と呼ばれるほど指や指先の繊細な動きが特徴の舞踊で、タイを代表する民俗舞踊のひとつです。
指先から足先までを細やかに優雅に動かすタイ舞踊は、最近日本でも教室が増えてきましたが、タイという本場で踊り手によるショーやディナーで楽しむことを是非お勧めしたいです。
タイ舞踊は踊りによって物語を表すので、踊り手の表情だけでなく、仮面・衣装・音楽・照明なども楽しめる総合的なエンターテインメントであるといえます。
タイ舞踊は「指先の芸術」?
タイ舞踊とはタイの伝統舞踊です。かつては王族のための舞踊で王宮で王のために披露されていた特別な舞踊でした。最近、日本でも教室が増えていますね。
タイ舞踊の特徴は、なんといっても優雅で繊細に用いられる指先の動きです。そのため「指先の芸術」と言われています。
「そんなの知らないよー」という方でも、「ほら、女性が大勢並んで指先をバーって広げるアレ」と言われれば、何となく思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか?
美しい指先の動きはタイ舞踊の真髄
タイ舞踊は指先を美しく見せるために様々な工夫がなされています。手を反らしたり、爪をつけたり、複雑な指の動きをしたりと、千変万化する指の動きに魅了されます。
もちろんタイ舞踊は指先だけでなく、頭からつま先まで全身を用いて細やかな動きで表現をすることで魅力を発揮する舞踊です。
それが優雅にひとつなぎになることでタイ舞踊らしい美しさが生まれるのですね。まさに曲線美を追求した舞踊といえるかもしれません。
音楽に合わせて踊るタイ「舞踊」と言われますが、タイ舞踊は音楽とともに物語が展開するタイ「舞踊劇」である一面も持っています。
ディナーショーなどで見る場合は、「仮面」を用いた「仮面舞踊劇」の場合もあります。
踊り手の手の動きひとつひとつに意味があり、悲しみ・喜び・愛情といった思いや行動を表すのです。
タイの踊り手は、悲しい表現をする時には悲しい表情を、怒りの表現をする時は怒りの表情をします。非常に表現が素直といえるでしょう。基本的に表情を顔に出さない日本舞踊の踊りとは、そこが違いますね。
「指先って言われてもわかんないよ」という方でも、踊り手の表情を見ていればわかることが多いので、指先とともに踊り手の表情にも注目してください!
旅行者に向けたショーの場合、はじめにレクチャーがあることもあります。たとえば、手のひらを反らした形が「タンウォン」、人差し指と親指をつけた形が「ジープ」といい、この二つが基本の形です。
指の形を知っていると、より深くタイ舞踊を楽しむことができると思います。機会があれば指の動きを習ってみてくださいね。
タイ舞踊は現地のオプショナルツアーで!
タイ舞踊を見たい!という方は、事前にツアーでお申し込みされる方もいれば、現地に行ってからショーを探す方もいらっしゃると思います。
タイ舞踊の舞台は毎日どこかで催されていますので、現地のオプショナルツアーでも見つけやすいと思います。
外国人観光客が多く泊まるホテルですと、マンダリンオリエンタルバンコクというホテルの別館にあるレストラン・サラ・リム・ナームでは約1時間のタイ舞踊のショーが行われていますし、サイアム・ニラミットという大きな劇場ではタイ最大規模の劇団がタイ舞踊のショーを行っています。
ちなみに、タイ・バンコクの渋滞は世界一といわれるほど混雑しています。その凄さは日本の比ではないです。
サイアムニラミットで本場の舞踊を楽しみたい!という方は、渋滞に気をつけて時間に余裕を持って行動してください。
タイ舞踊は総合エンターテインメント!
タイ舞踊を見た方は、指先の動きに魅了されるだけでなく、ゴージャスな衣装も楽しまれると思います。
タイ舞踊の衣装はゴールド・シルバーの糸が用いられているだけでなく、宝石も散りばめられていますので、まさにラグジュアリー!な衣装なんです。
踊り手のなかには、仏塔をイメージした金の冠をかぶっている人もいて、こちらもキラキラしています。
これほど豪華なのは、タイ舞踊はかつて王宮のみで舞うことを許されたという聖なるものだったので、衣装も特別なものを用いていたからだと考えられています。
タイ舞踊は音楽も独特です。タイの古典舞踊の場合、タイの伝統楽器が使われます。代表的なのは「ラナート」という木琴、「ピー・ナイ」という縦笛、「チン」というタイ風シンバル、「タポーン」という太鼓の四つです。
演奏者は踊り手の後ろに位置し、5人~15人程度の楽隊を組みます。これらが織りなして、タイの音色が奏でられるのです。その音色は神秘的でありながら、どこか懐かしい感じもします。
最近のタイ舞踊の劇は、照明や演出にも凝ったまさに「エンターテインメント」の「ショー」が行われていますので、初めて見る方にも十分楽しんでいただけると思います。
最後に、タイ舞踊で最もポピュラーな仮面舞踊劇・ラーマキキエン物語をご紹介したいと思います。
ストーリーは、王子が悪魔にさらわれた妃を取りもどす!という勧善懲悪のシンプルなものです。
日本の歌舞伎のように、良い人はかっこよくて良い人!な感じの衣装と化粧ですし、悪役はいかにも悪役!という感じなので、見た目でもわかりやすいと思います。踊りと音楽で物語が進むこの仮面舞踊劇を、タイで是非ご覧になってみてください。
文:井上たもん
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